絹製品の深色加工 「幽玄黒牡丹」
古来、日本の伝統色とされる、さまざまな「色」には、何らかの意味が含まれているものとされています。 とりわけ墨色や漆黒という黒い色に対して、日本人は独特の美意識を抱いていると考えられています。 簡素さと、俗塵からの離脱、静寂さに心を置く、などといった象徴的な精神性が「黒」という色にはあるといえます。
また、その対極にある白と黒との対比、光と陰影など、陰と陽は時として合体し、新しい生命を生む源であるとも伝えられています。 こうした古人の精神性を高めるころから、伝統的な「黒染め」の技法が生み出されてきたことに改めて気付かされるものです。